フィトンチッドと安らぎ
- umusanyoku
- 2024年6月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年7月20日

フィトンチッドとは、微生物の活動を抑制する作用をもつ、樹木などが発散する化学物質。植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指します。
フィトンチッド濃度は季節として6月から8月がピークに達し、
また、地面から高さ40センチのところが一番フィトンチッドの濃度が高いという実験結果もあるため
山浴では、コットの高さを顔の位置が地面から高さ40センチほどのなるように設定しています。
副次的な効果として、普段感じない土の匂いや植物の匂いを感じることもできます。

一般的に言われるフィトンチッド自体の効能には、以下のようなものが挙げられます。
抗菌・防虫・防カビ
ストレス軽減・リラックス効果
睡眠を安定させる
抗がん剤としての活用
更年期障害の改善
鎮静剤効果
消臭効果
なんとなく体に良いことは感覚的に理解できますが、科学的裏付けをもって明確な回答をおこなえるのものは実は限られています。
以下、フィトンチッド、あるいは森林浴に関して科学的な裏付けの取れた報告・研究レポートについていくつかまとめました。
アロマとヒノキ香油との比較実験で、更年期障害に優位な効果が測定されたのは「リラックス効果」と「背中の軽さ」で、自律神経作用や肩こりなどに対する有意差はなかった(更年期女性のストレス緩和へのヒノキ芳香浴の効果)
フィトンチッドを噴霧することで室内の消臭効果を測定。一定効果は測定されたものの、持続的な効果を得るには定期的な噴霧が必要となる(室内環境におけるフィトンチッドの消臭効果の検討:島根大学)
スギの葉はレム睡眠の出現を誘発する手助けをおこなうが、αピネンに関しては有意な結果が出ていない。スギの葉の揮散物質が嗅覚-大脳辺緑系-視床下部系を介してレム睡眠発生プロセスに影響を与えたと予想するが、その経路・メカニズムは不明である(フィトンチッドの睡眠・生体リズムに及ぼす影響:埼玉医大)
森林浴は男女問わずガン細胞の抑制効果のあるNK細胞を活性化させ、ストレス指標となる尿中アドレナリン濃度を軽減させた。また、森林部分の多い地域に住む住民のほうが、少ない地域の住民よりもガン発生率が低い傾向にある(森林浴の効果:日本医科大学)
森林浴は高血圧とストレス軽減に寄与(森林と健康:群馬県立医療短期大学)
上記、様々な研究結果を見ても分かる通り、フィトンチッドの効果は限定的な環境下で測定されたもので、
長期的な人体への影響に関しては実験の難しさも相まって立証されていないことが少なくありません。
神秘のベールに包まれた「自然」の持つ可能性に、我々は今一度目を向けるべきかもしれません。
山浴は、自然に対する敬意と自然との一体感を追求する全ての人々に、このアプローチをお勧めします。
参加申し込みは、下記のボタンから。